導入事例のご紹介
東海大学 様
パソコン研修から業務マニュアルまで。
教職員のための新しい研修スタイルの確立を目指して。
1942年設立の東海大学は、人文・社会・自然科学など、13学部72学科・専攻・課程(大学)、12研究科41専攻(大学院)を擁する総合大学。研修や研究で高い評価を受けており、文部科学省による平成15年度「特色ある大学研修支援プログラム」や「21世紀COEプログラム」での採択、特許や実用新案など産業界への技術移転を促進する「大学知的財産本部整備事業」の対象校選定など、数々の実績がある。またスポーツ面でも、全日本大学駅伝で初優勝。箱根駅伝でも総合2位を飾るなど、多方面で活躍が目覚しい。そんな活躍を支える同大学の教職員は、日々、事務効率向上とスキル向上に励んでいる。
創立 : 1942年 学部 : 13学部72学科・専攻・課程
http://www.u-tokai.ac.jp/
- 所属長への進捗報告を課さない自由な研修にも関わらず、目標達成者は半数を超えた。
- 「職場で気兼ねなく学習できる環境づくり」で、受講者のさらなる増員を狙う。
- 使いなれているWordで業務マニュアルもeラーニング化。更新作業も簡単に。
- 今後はAccessや画像処理に期待。より業務と密着したeラーニング活用を模索。
所属長への進捗報告を課さない自由な研修にも関わらず、目標達成者は半数を超えた。
東海大学にeラーニングシステム「富士通Internet Navigware」が導入されたのは平成14年春。それまではデータベースやホストコンピュータなど、各情報部門の職員がそれぞれの部門のメンバーに対して集合研修を行っていた。2~3名から10名までの少人数の研修とはいえ、レベル差があることが悩みだったという。今回、eラーニングシステムの導入を担当された情報システム開発課の星野辰夫氏と、偶然にも同姓の星野智美氏のお二人に、eラーニングによる職員研修の取り組みについてお話を伺った。
最初に導入したのは、ExcelやWordなどパソコン操作習得用の教材4講座。それまでパソコン研修は実施していなかったが、希望者を募ったところ半年間に96名が受講。大半が「必要に迫られて」という理由で受講している。実施方法は当初2ヶ月ごとにクラスを設定し、期間内に修了してもらう方針でいた。が、業務の都合などで2ヶ月間では短すぎるという声が多く、最終的に半年間で自由に学習してもらえる設定に変えた。「eラーニングは、個人で学習の進め具合を調整できるところがいいですね」。そう語る星野辰夫氏が試みたのが、所属長への進捗報告を行わず個人の裁量に任せたeラーニング研修だ。にも関わらず、受講者の20%を超える21名が4講座のうちいずれかを100%修了している。「修了率としてはそれほど高くはないかもしれませんが、何の強制力もつけずに、よくこれだけ勉強してくれたな、と思います」と星野辰夫氏は振り返る。
受講終了後のアンケート調査では「分からないところを繰り返し学習できたのが良かった」「自己流で覚えていたが、効率の良い操作方法を学習できた」「以前受講した通信研修より、eラーニングはわかりやすかった」「時間的に難しいが、もっと利用したい」などなど、評判は上々。結果として、目的を達成できたと答える人が半数を超えた。
「職場で気兼ねなく学習できる環境づくり」で、受講者のさらなる増員を狙う。
アンケート調査を実施した意義は大きく、初めて分かったことも多かった。そのひとつが『職場で学習できる環境』が部署により大きく違うこと。85%の職員が職場で学習をしており、自宅で学習した職員は10%未満にとどまっている。職場で学習をした職員の半数は、業務時間内に行っているが、残り半分は時間外。部署単位の個室で働いている職員に比べ、大きなフロアで部署ごとの島に別れて業務についている職員は、業務時間内に勉強するのは気がひけるのか、時間外に行っている傾向が高いことがわかった。「初めてこういった事実が分かったので、今後、各部署に対して気兼ねなく勉強してもらえるような働きかけをしていきたい」と星野辰夫氏は語る。
使いなれているWordで業務マニュアルもeラーニング化。更新作業も簡単に。
東海大学のeラーニング展開はOA操作コースだけにとどまらない。教職員が利用するグループウェアの操作マニュアルもコンテンツ化し、公開した。コンテンツ化を手がけた星野智美氏は、さらに他のマニュアルについても意欲的だ。「私が参加している財務情報システムプロジェクトでは『財務Web起票マニュアル』をコンテンツ化しています。従来から電子伝票のための『財務情報システム起票マニュアル』は紙で存在していました。今回、Web化へのシステム変更を機会に、eラーニングの共通コンテンツにしてしまおう、と考えたのです」。以前の紙のマニュアルは、各部署で利用されてはいるものの、数年の運用で発生した変更点や注意事項などは、担当者が変わってしまうと申し送りがないままになっているケースも多い。eラーニング化することで、利用者のスキルレベルの確保、最新状態のマニュアルの提供、また、作成者側の更新作業が簡素化される。加えて星野智美氏には、もうひとつの狙いがあった。
eラーニングというと、音声・動画を盛り込んだ最新型コンテンツを思い浮かべる。だが今回、星野智美氏が手掛けたものは、きわめてシンプルでわかりやすいものになっている。「『伝票の書き方』のコンテンツは、プロジェクトのメンバー全員で作るという狙いがあります。ほとんどのメンバーは、パソコンは資料作成で利用する程度。いきなりHTMLやFlashを要求すれば、拒否反応が出ることは目に見えています。だからまずは、いつも使っているWordで、それぞれの伝票の書き方を記述してもらうことにしました」。各メンバーから提出されたWordデータを、星野智美氏がHTML化し、元データのイメージそのままにeラーニング化。「自分で作成した教材が、そのままのイメージでコンテンツとなる。eラーニングのコンテンツといっても、実は簡単に作れるということを分かって欲しいですね」と語る星野智美氏に、星野辰夫氏も続ける。「各部署には、いろいろな紙のマニュアルが存在します。今回公開する『伝票の書き方』を見て、自分達が持つマニュアルのコンテンツ化を考えてもらいたい」。
eラーニング導入の成功要因として、一般的によく挙げられるのは「全社で取り組む」「業務に必須のコンテンツを使う」こと。東海大学ではさらに「誰もがeラーニングのコンテンツを作れる」という意識づくりを戦略的に行っている。とかく技術に走りがちな事例が多い中、丁寧に受講者の意見に耳を傾けながら、着実にその浸透を図っている星野両氏の誠実な姿勢には頭が下がった。
![]() 各部署から集まったプロジェクトメンバー全員で作り上げた『財務情報システム起票マニュアル』 |
今後はAccessや画像処理に期待。より業務と密着したeラーニング活用を模索。
職員からは今後学習したい内容についての要望が多く寄せられている。特に業務で使っているAccessや、画像処理・ホームページに対するものが多い。今後はニーズに合った教材選定が求められる。また、情報システム開発課として、教職員全体に徹底したい内容もある、と星野辰夫氏。「情報セキュリティについての意識を教職員に持ってもらいたいので、講座の追加を検討しています。既成の内容に、東海大学の独自の環境についての解説を加えることができるといいですね」と語る。
「勉強したい人にその手段を提供したい」という思いで始まった東海大学のeラーニング。少しずつ反応も出てきて、手応えも感じられるようになってきている。当面は受講者の意欲を尊重し、要望のあるコンテンツを提供しながら、時には職員に案内を出すなど、受講者に積極的に関わっていきたいと両氏。前述のアンケート調査には「期間の制限を設けて、督促をして欲しい」といった意見もあり、自己努力だけでは目標達成が難しいと感じた人も少なからずいた様子。eラーニングという新しい学習形態を少しずつ浸透させながら、いずれ業務に欠かせない研修スタイルとしての地位を築くまで、星野両氏の挑戦は続く。


